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アーキテクチャ アンド アレコレ
No  2

ヴァナキュラー勉強会

アルベルベッロの街並

年末28日、建築家の連健夫さんの事務所に、氏を始めとする数人の建築家の方々と「ヴァナキュラーからの変換」というテーマの勉強会をしに、伺ってきました。

『ヴァナキュラー(vernacular)』とは、地域性・土着性、またはもっと具体的に、その土地固有の建築様式、などを指す名詞(および形容詞)です。「ある敷地に建築を建てるとき、新たな建築をより一層その場所に適合させるため、受け継がれてきた習慣を残したり、地域的な個性をモチーフとして取り入れる…」などの形で、かなり前から設計の方法論・拠り所としても研究されています。

イタリア・アルベロベッロのトゥルッリ(写真)や、日本の白川郷の合掌造り等は視覚的に分かりやすい例ですが、地域性はどの町もそう特徴的とは限りません。だから地域性(ある地域では頻繁に見られ、それ以外では見られない共通項)を何とか抽出しようと抽象性のレベルを上げていくと、気候・風土・宗教・材料などに起因する「形態やモチーフ」などの表象的な項目にはじまり、「質感・素材感」、さらには「構成上の特徴」や「(空間的な)密度感」なんかも『ヴァナキュラー』と言えてしまうのです。

僕個人は、「『ヴァナキュラー』という要素は設計のメインコンセプトにはならない」と考えています。
なぜなら様々な環境から地域性を見出す作業は、どこでどんな建築を計画する際にもなされるべきの、当然のチェック項目に過ぎないと思うからです。
「その場所に建つにふさわしい姿・あり方」…これは、例えどんなに抽象的なレベルであっても、必ず考慮すべきポイントです。街の構成要素は一軒一軒の建築ですから、美しい街の一端を担うべき「建築」とは、施主の所有物(ましてや建築家の作品)を越えて、大きな社会性が求められる存在なのです。

「主題ではないが常に重要な副題」…それが『ヴァナキュラー』に対する僕の見解です。
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No  1

安藤忠雄氏講演会

GA DETAILS 4   サイン入り

師匠である安藤忠雄氏が東京で講演会などをやる際は、大学や専門学校で
講師をしている僕にも、多くの学生へ通知や案内をするよう、連絡が来ます。

今回は代々木のGAgalleryという建築誌の出版社、書店を兼ねたギャラリーで、
ある本の出版を記念した、「設計図から考える」というテーマの講演でした。

安藤先生は自分の図面を詳細図に至るまで本にして公開してしまいますが、
それももう4冊目です。(2冊目の編集には当時所員の僕も関りました。)
建築家の魂でもある図面・ディテールの公開は、まさに「ネタばらし」ですが、
こうすることで図面を記録でき、また他者に逆に真似をしにくくさせています。

そしてテーマでもある「設計図」とは少し前まで手で描かれており、僕も薄い和紙を
破かないように気をつけながら、鉛筆で強弱・濃淡をつけて描いたものでした。
そうした図面には思いがこもり、目地から棚の位置まで否応なく神経が届きます。
そして決めかねている部分はどうしても線が薄くなるなど、表情があったものです。
とは言っても、一方でコンピュータで描く図面の便利さ・合理性からは戻れません。
・図面が表情を失った今は余計難しいけど、その背後に意思を持ち続けること。
・図面の結果が建築ではなく、建築のあるべき目的に向って図面を描くこと。
…そんな内容の講演でした。

当たり前のようだけど、時代の意思や社会での存在意義など一切考えられずに、
経済性や、機能のつなぎ合わせのみで建った建築が、実はいかに多いことか。。
「意識を高く持ち、丁寧にやっていこう。」と、また思いを新たにしました。

ちなみに本は元所員は普通は買うんですが、今回は僕にも1冊下さいましたよ☆

TADAO ANDO DETAILS 4

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