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アーキテクチャ アンド アレコレ
No  229

2010 欧州旅行記6(オランダ・ユトレヒト特別編)

…つづき

<ユトレヒト特別編 (この建築は思い入れが深く、長くなりそうなので分けました)>

 54-1  54-2  54-3


54:シュレーダー邸(トーマス・リートフェルト)…

出ました!延床40坪の世界遺産!今回の旅の目的と言っても過言ではありません。
(内観はNGですがどうしてもと思い絵葉書を。本当は二川さんの写真が一番です。)

学生時代から見たかったのに「オランダは小さいから暇さえあればいつでも行けるさ」
と思いつつ15年経ってしまいました。。が、間違いなく今でも最も好きな建築の一つ。
モンドリアン等で有名な「De Stijl」という抽象的構成原理(三原色+垂直水平)と、
絵画と違う建築ならでは、家具職人ならではの日常的機能性の融合した傑作です。

大正13年竣工の、決して広くない室内に凝縮された可動間仕切や折畳み机などの
数々の発想は、忍者屋敷のような日本人のきめ細かな知恵やモノ作り精神とも通じ、
物理的にも感覚的にも、現代日本の住宅に応用しうる要素を無数に含んでいます。

またこの建築が「僅かな枚数の図面から建てられ始め、現場で細部が決まっていき、
引渡し時点で壁も無塗装、家具も未完成ながら、施主ともども残る工事を楽しんだ」
…という大らかで幸福なプロセスも、最終的な密度への到達に寄与したのでしょう。

さらに、世界遺産に認められたのはほんの10年前のことですから、竣工当時はまだ
革新的過ぎたこの小住宅に、近隣からの嫌がらせを受けながら、生涯大事に暮らし
続けた施主シュレーダー夫人の建物に対する愛情にも、等しく感動させられます。

そして僕がこの住宅を素晴らしいと思う最大の訳は、批評家が称える構成も色彩も、
実は日射調整や汚れ防止など実用的根拠に基づくなど、建築家が自身の建築を
単なる哲学や芸術の対象に留めずむしろ抵抗した、専門家として当然の深慮です。
(なのに哲学と意匠のみで機能無視の今の建築に、哲学や意匠も未だ劣りません)
だからこそ、施主も未完成の家作りを楽しみ、死ぬまで愛したのだと思います。

業界内で評価されても、施主が数年で愛想を尽かして出ていくような住宅じゃなく、
(無論クレーム対策だけ万全で何の愛着も持たれない“デザイン風(?)”でもなく、)
誰より施主自身が胸を張って守り続けてくれるような、そんな住宅を作りたいです。

(…つづく)
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