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アーキテクチャ アンド アレコレ
No  85

「硫黄島からの手紙」も観た。

  
http://iwojimathemovie.warnerbros.com/lettersofiwojima/framework/framework.html

感想:こんな映画はこれまで見たことがない。

暗いとか重いとか悲しいとかじゃない。涙も出ない替わりに席を立てない。
日米両面から描いた試みの興味深さも、一つの小さな要素に過ぎない。
今までみたいに戦争の空しさのみじゃなく、兵士ってだけでごく普通だった
僕らと同じ若者の、あの時代なり、あの場所なりの日常が描かれてこそ
今の僕らが感情移入できる、させられざるを得ない、非日常のリアリティ。
今の日本人が議論しにくい「天皇陛下万歳」や「靖国で会おう」の多面性。

軍人も良識派はいたろうし、好きで戦場に向う兵士なんて何人いたのか?
一人を大勢でイジめる臆病で野蛮な現代人は守るべき子孫だったのか?
開戦に反対し、始まった以上真珠湾で短期終戦にかけた山本五十六や、
本土被害を食い止めようと硫黄島で長期戦を覚悟した栗林中将の意思が、
欧米の侵略戦争・植民地政策が普通だった時代にどれだけ罪深いのか?

…と書けば「美化し過ぎ」と言う人に、どれだけ彼らを卑下する根拠があるか?
時代に殉じた人の命や思いは、悪い誰かへのただの言いなりと蔑むのか?
俺は嫌だと今言う人のどれ程が、あの時代に抗う力を持っていられるか?…

歴史を知る前に、口にすること自体アレルギーを示す日本人に替わり、
アメリカ人監督は淡々と問題を提示し、栗林中将役に「何年も経ったら
君たちのことをみんなが思い出し、そしてあなた方の魂を祈ってくれる」
というセリフを語らせ、「国のために戦い、死んでいった人たちがいることを
忘れてはならない」とインタビューで語る。我々日本人に。

クリント・イーストウッドの思いに応え、僕らは観なければならない。
身近な祖先の身近な思いに応え、僕らはもっと知らなければならない。

ところで二宮君はやっぱり良かった。「優しい時間」からそう思ってたけど、
倉本聡に認められただけはあるね。長澤まさみもその後大ヒットしたし…

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